夜叉神峠から南アルプス街道を通って、安倍峠へ
朝、窓を開けるとひんやりとした空気が入って来た。ここは、静岡県の梅ヶ島温泉。
連休に休みを1日足して、夜叉神峠を通ってきた南アルプスのコースも今日は最終
日、後は静岡駅まで安倍川に沿ってゆっくり下っていくだけです。
2001.10.6〜9、甲府駅からスタートして、夜叉神峠(やしゃじんとう
げ)、南アルプス街道を通って、安倍峠、静岡駅へというコースを行って来ました。
そこそこ安定して走ってくれたPACIFIC18、196Kmでした。
10.6
甲府駅をスタートして桃ノ木温泉を左に見送くって、山肌に沿った道になり、どんど
ん高度を上げていった。林道らしくなってきたと思い始めたら、前方に猿たちが。
「え、猿なんかがいるのか。上り道だし、一気には通過できないし・・・。」 猿に
は怖い目にあっているので、やだけど、止まることなくゆっくりと行くしかないの
で、目を合わさないように、合わさないように進んで行った。猿たちはよけて行って
くれたけど、数百mぐらいはきがきではなく、自然とハイペースに。猿エリアを通過
して、気持ちも、はあはあ。つづら折れの上りをくりかえして、夜叉神峠登山口に到
着した。登山者、車がいて、さらに数百メートル進むといよいよ夜叉神トンネルが見
えてきた。簡易照明はあるものの路面はぬれていて滑りやすい。したたりおちてくる
水を避けて進んでいく。出口には大量の水が壁をはって流れていた。抜けると一転し
て視界が開け、底がみえない山深い渓谷と、そしてパノラマの視界が現れた。トンネ
ルの手前までは山肌に沿った林の中の道で見晴らしもそれほどよくなかったので、驚
いてしまいました。
夜叉神トンネル
ここからは下り道になっている・・・と思いきや、ゆるい上りが、数キロにわたって
続いて行く。パノラマの山岳断崖路を行く。滝を見ながら、連続するトンネルを通っ
て、断崖に沿って進む。下りとなって、谷底に、これから通っていく南に延びている
白鳳渓谷に沿った南アルプス街道が左に見え隠れしてきて、最後に長いトンネルを抜
けて広河原に着いた。ここからは北西の北沢峠方面へも舗装路が延びているのだけど
自転車は通行禁止となっている開かずの南アルプス林道だ。徒歩と村営バスだけが通
れる開かずの南アルプス林道です。ゲートには管理人がいて厳しく自転車の進入を制
限しているらしい。実際はどうなっているのだろうか、と興味しんしんだった。やは
り管理人小屋があって、「自転車(組立式を含む)通行禁止」とまで書いてあり、こ
こだけバスで通過してしまうことさえ許さないと言っている。年に1度ぐらいは許可
してもらって、高遠へ抜けたいです。
ゆるい上りが続く
山岳断崖路を行く
ダートの南アルプス街道が左に見え隠れしてきた
北沢峠へは自転車禁止
さて着いた広河原は北岳への登山基地。ここから南へ下る南アルプス街道はダートだ
し、地図でもたいへんそう。「素掘りのトンネルが多い。暗く水浸し」とも書いてあ
る。覚悟はしてきたけれど、やはり心配です。聞いてみると、このダートを車で通っ
た事がある人で、「途中長い長い、水たまりだらけの暗いトンネルがあって、自転車
のタイヤはかなりは沈んでしまうかも。川のようだし。ライトは持って来ているよ
ね。」と、ますます心配させる説明だった。
駐車場わきの橋を渡って未舗装路となり、落石注意の警告板が。まあ、どこにでもあ
るしなんて思って下り始めたのだが、「がさがさ、ごろごろ、どんどん」と音がして
10mほど先、道、中央に50cmぐらいの落石が。まさか現実におこるなんて。ビ
ビりました。この道を行くしかないですから、もう、これはもの音にも注意して進ん
で行きました。
ダートが始まった
そして白鳳渓谷にそった谷底の道を進んで、トンネルが連続する区間に入った。この
トンネルはどれもひとくせあって、照明はなく真っ暗、中も未舗装、水たまりは作っ
ているし、カーブしていて長く先は見えないし、頭上からは湧き水が流れてくるし。
暗くて薄気味わるいけれど、トンネルは次々に現れてくる。そして、水たまりだらけ
の長い長いトンネルに突入した。さっき聞いたトンネルだった。水たまりは、避ける
ことはできず、止めないように水たまりの中をに進めるのが手一杯で、心細いとか、
暗いとか、気味悪いとか言っている場合ではなくなってきた。吊尾根隧道だった。ト
ンネル内はほとんど水浸しだった。少しずつ暗いトンネルの連続にも慣れてきて、素
掘りのトンネルの壁をみたり、カーブ具合をみたりすることができるようになってき
て、自転車は泥だらけになったけれど、立ち止まらず通過することができました。部
分的には舗装路もあって、いずれ舗装されてしまうのでしょうけど、ああ、今回走れ
てよかったです。下って行った車は2台、上って来た車は1台、バイクは通りません
でした。
トンネルが連続する区間に入った
暗くなり、ペダルをこぐも、外灯と思いきや電力施設のものだったりで、またすぐ暗
い道となる。ダートも終わり、奈良田温泉を通過、見覚えのある転付峠への道との交
点に着いた。ここまで来れば、もう宿の大滝温泉までは数分、やっと緊張がほぐれ、
ここで一息入れました。連絡しておいたより50分ほど遅くなり、心配をかけてしま
いました。僕にとっては、アドベンチャーコースだったんだと、温泉に入りながら思
いかえしました。
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