御荷鉾スーパー林道

2002.3.24

下仁田駅〜塩ノ沢峠〜八倉峠〜塩沢峠の少し手前〜上州福島駅 66km

御荷鉾(みかぼ)スーパー林道は群馬県の南西部に位置する林道で、秩父と上信の山々
の眺めがすばらしい道だった。しかし、残雪のダート林道に悩まされ、すっかり陽が落
ちてしまいました。
 
自転車PACIFIC18で行ってきました。

 

            

上信電鉄の終点、下仁田駅をスタートして塩ノ沢峠を目指して南牧川に沿って進んで、
桧沢集落まで来ると岩山の姿が多く見られるようになってきて、上がってきた気分にな
ってきました。

妙義山など上信の山々が見え隠れするようになってくると、さらに岩山の姿が真近に見
てきました。


 

塩ノ沢峠のトンネルの観光案内板を左折して御荷鉾スーパー林道に入っていくと、入り
口には4月20日まで全面通行止めの看板があったけど、ゲートで閉ざされているわけ
ではなかった。こう書いてあると、やはり誰かに会うことは少ないだろう。と、思いな
がら進んで行きました。


 

  

上南随道を抜けると、稜線を走るとても快適な舗装路になった。こんないい天気、こん
ないい景色なのにだれも来ないなんて、もったいないと何も知らないこの時は思ったの
です。本当にいい風景が広がっていて改めて自転車っていいなあ。

南側には、ノコギリ頭の両神山をはじめ秩父方面の連山の壮大なシーンが広がっている。
八倉峠(ようくらとうげ)を過ぎるとダートの登りとなり、下仁田への道を分けると路
面がだんだん荒れてきました。


         

はじめは道端だけにあった雪もしだいに増してきて、完全な残雪ダート道になり、押し
ていくしかなくなってきました。

                  


ワダチがあるのでそう心配せずに進んでいった。車が通れた道だからとおもったからで
す。しかし、それにしても長いアップダウンを繰り返していく残雪ダート道は車だから
通れた道なんだと後で思い知らされた。自転車を引きずっていく。いいかげんにして、
と思った頃、さらに路肩崩壊のため、全面通行止という看板がでてきた。

え!、ここまできて路肩崩壊で全面通行止めと言われても。心臓はドキドキ、帰れなく
なったらどうしよう。こっちらは自転車なんだぜ、と一人思うのでした。戻るといって
も、ここまでかかった時間を考えると、完全に日が暮れると思う。進むことに。路肩崩
壊といっても自転車には安全な道でした。


   

へとへとになりながら、残雪が消えて、間も無く、藤岡市の看板がでてきた。たいへん
だった。ここには「最高地点 1430」という立て札がありついにコースの最高点に
着いたのでした。


 

ここからすぐ、みかぼ森林公園が広がって、東屋があったり、公園の雰囲気です。最高
点を過ぎたし公園という言葉から不安だった気持ちも安らいできた。だれかしらいると
期待したがだれもいなくて、がっかり。東屋で休んでいると同じ方向からエンジン音が
。白い車が通り過ぎていった。はじめて見た車だった。さっきの道を通過できたんだ。


 

御荷鉾スーパー林道から、南を望むと、群馬と埼玉の県境の尾根が一望できる大パノラ
マが見える。

白く水平に削られている独特の山が見えた。まるでヘリポートのように見えた(上の写
真で中央に白く見える)。単眼鏡で見てみるとトラックなどの工事車両が停まっていた。
帰ってから、調べてみたら、これは石灰岩採石のため削られ続けている叶山の姿でした。

最高点を過ぎたとは裏腹に、舗装路の後、下るだけ、舗装路だけと思いきや、再びアップ
ダウンを繰り返す残雪ダート道となってきた。

御荷鉾スーパー林道そのものは適度なアップダウンであり、快適な尾根道になっている。
今は雪解け水たまりにも再び氷が張りはじめていて、ノロノロしているうち、いたずらに
時間は過ぎ、あたりは闇に包まれてきた。


  

午後7時なのに、腕時計では標高1300mのところにいる。予定どうり神流湖へ下っ
てから駅まで行くには、ダートもあるのに1200m近くを下り、40km以上走るこ
とになるし、この時間ではなんかとても途方も無い距離に思えた。

地図をみても次の塩沢峠から早めに南下して R462に出れるR46の道があるだけだ。この
ルートでもまだ駅までは40km以上走ることになる。どの道を抜けて行けばいいのだ
ろう。

自力では戻れなくなるかもしれない、と思った。

車の来ないこの道にいると、闇夜が近づくにつれ、心細さが増して来るのです。

やがて、R46表示のある分岐点にでた。R46は舗装されていて、広い道(上の写真にみえ
る道がR46だった)だが、神流湖方面はダートになっている。迷わずR46を下っていった
。舗装されているだけでもこの時間ではラッキーと思った。


 

彼方に、街の明かりが見えた。高崎の街だろうか。下るに従い、街の明かりは見えなく
なり、山間の闇夜の細い道を下っていく。寒くて、体が震えて、時々止まっては後ろを
振り返ると、きれいな夜空の下に黒い山々が影絵のように迫って来る。はっきりみえて
きれいな夜景だと思った。とにかく、灯りの見える所まで行きつけたいと思った。

はじめは、広かった道も狭くなり、どうも道筋も変だ。地図とは違うようだし、この道
で帰れるのだろうか。小さな集落の灯りが見え、やっと人里に下りてきたと感慨にふけ
る間もなく、再び闇夜の細い道になった。

熱い缶コーヒーが飲みたかった。不安なままとにかく下っていくと、民家が現れ、集落
となり、ほっとして、幾度目かの自販機で缶コーヒーを買い、手を温めてから飲んだ。

自販機の前にはバス停があり、バスの時間はとっくに終わっていたのだが、行き先は富
岡駅行きとなっている。おかしい。富岡駅行のバスなんかない場所のはずだ。自分の考
えていた方向とまったく違うようだ。

自販機の明かりで地図をよく見ると、今来た道は、南へくだる R46ではなく、地図では
通じていなかった北へ行く R46だったのです。そう、この道はもより駅への最短ルート
だったのです。駅までは、10〜15kmほどのようだ。もう、どんなにゆっくりいっ
ても、確実に電車に乗れることになった。予想もしていなかったこの展開に、身も心も
軽くなっていくのを感じた。



 

無人の上州福島駅に着き、真っ先に時刻表を見ると、9分後に迫っていた。その後は更に
1時間後。あわてて、身支度を整えて、来た電車に乗り、暖かい、明るい車内に入ると、
生還できたと思った。

身支度を整え直し、腕時計を見ると120mを示していた。体が寒くて、高崎駅でホッカイ
ロを2個買った。

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